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技術情報

微粒子技術コラム

運転編
バッチ式とパス式について

ビーズミルの運転方法には「1.バッチ式」「2.パス式」「3.循環式」の3つがあり、対象物の性質や粒子径、前後工程の設備によって、運転方法を選択している。
今回はビーズミルのバッチ式とパス式の運転方法の違いや特長について説明する。

バッチ式について

バッチ式は配管などを用いずにビーズミル本体のみ使用した方式である。
生産能力はタンクまたはベッセルの大きさに依存するため、変量生産よりも多品種少量生産に向いている。後述のパス方式では不可能な粒子径まで微細化するときに用いられることが多い。1)

パス式について

パス方式は粉砕や分散の行ないやすいスラリーに多く使用されており、運転条件が決まれば処理量が多くても対応できるため大量生産に有効である(図1)。

図1 パス方式のイメージ

装置は1パスあたりの処理時間(滞留時間)を長くするためにベッセルの長さLと直径Dの比L/Dを大きくして、供給量を少なく設定する。この方法はベッセル内を1回通過(1パス)させることで目標の粒子径が得られるときに有効であるが、1パスあたりの滞留時間が長くても目標粒子径に到達しないスラリーには、パス回数を重ねる「多重パス方式」を行う。
多重パス方式とは、1パスごとにスラリーを受けるタンクとビーズミルに供給するタンクを交換する方式である(図2)。パス回数を重ねることでトータルの滞在時間が長くなり、微細化が進行する。また、1パスの滞留時間を長くするより、同じ滞留時間であればパス回数を増やしたほうがシャープな粒度分布が得られる。ただし、同方式は1パスごとにタンクを切り替えるため、作業性が悪いというデメリットがある。

図2 多重パス方式のイメージ

他の処理方法としてビーズミルを2~3台直列に設置してパスを行う多連パス方式がある。ビーズミルごとに使用するビーズ径を順次小さくすることで分散の効率化が期待できる(図3)。パス回数が増えるとビーズミルの台数も増えるので、少ない処理量ではイニシャルコストやランニングコストといった設備費用が大きくなるデメリットがある。

図3 多連パス方式のイメージ

引用文献

  1. 粉体工学会編:“粉砕・分級と表面改質”、p.65、NGT(2001)