酸化チタン

    
材質 酸化チタン
訴求機能・特徴 高誘電率、光触媒機能、紫外線遮蔽性、透明性
平均粒径 15〜800 nm(紫外光応答型:数 nm〜200 nm、可視光応答型:18〜300 nm)
粒子形状 球状、粒子状、紡錘状
具体的用途例 外装建材、道路資材、建築用途料、ガラス、フィルム、テント、カーペット、手すり、空気清浄機、エアコン用フィルター、水処理機用フィルター、家電、衣類、寝具
利用用途(粒径別) 100〜1 μm 外装材、内装材、エアコン、空気清浄機
10 nm〜100 nm 外装材、内装材、エアコン、空気清浄機
〜10 nm 外装材、エアコン、空気清浄機

酸化チタンの主な機能と用途

酸化チタン(TiO2)は、チタンの酸化物です。二酸化チタンと呼ばれることもあります。ナノ粒子酸化チタンについて詳しく解説していく前に、通常の酸化チタンの性質や用途について詳しく解説していきましょう。

粉体として酸化チタンが使われるようになったのは、今からおよそ100年前です。酸化チタンの外観が白色であることから白色顔料としてや、塗料、プラスチック、化粧品などの様々な分野で利用されています。

酸化チタンは光の屈折率がとても高く、光学特性を活かした利用も盛んです。酸化チタンを用いた白色塗料は、熱の発生原因となる「赤外線」を反射する性質を持ちます。この特性を活かし、建物の屋根材などに遮熱性を高める目的で塗料として使用されます。

また、酸化チタンは、導電性酸化スズと組み合わせると、化学的に安定した「帯電防止材料」しても利用できます。さらに、純度の高い「高純度酸化チタン」は、電子セラミックスの原料としても活躍。パソコンやスマートフォンなどの電子機器に利用されています。

酸化チタンは、結晶構造によって「ルチル型(正方晶)」「アナターゼ型(正方晶)」「ブルッカイト型(斜方晶)」などの種類があり、微妙にその特性が異なります。最も安定している構造が「ルチル型」で、アナターゼ型、ブルッカイト型のどちらもが高い温度になるとルチル型に結晶構造が変化します。

酸化チタンナノ粒子の主な機能と用途

酸化チタンを顔料として利用される粉末(200-400nm程度)の1/10以下(6-50nm程度)にまで細かくしたものを、酸化チタンナノ粒子と言います。酸化チタンナノ粒子は、通常の酸化チタンの性能に加えて、独自の機能性を発揮します。

ナノ粒子化された酸化チタンが最も活躍している分野が「光触媒コーティング」です。
製品の表面に、酸化チタンナノ粒子を噴射し密着させると、紫外線や可視光線と反応し、「光触媒分解(表面に付着した有機物の分解)」「光親水化(付着した水が水滴にならない」といったような現象を引き起こします。

光触媒分解の機能は、紫外線が当たると汚れや菌、ウィルスなどの有機質を分解する性質で抗菌コートととして広く使われています。また、光親水化により、水がコーティング面に付着しやすくなるので、光触媒分解によって分解された汚れや菌、ウィルスなどを雨で洗い流すこともできてしまうのです。

この光触媒コーティングの「光触媒」と「光親水」2つの性能を合わせて「セルフクリーニング」と呼びます。セルフクリーニングを目的とした酸化チタンの光触媒コーティングは、屋外の外壁や窓ガラス、街灯などの清掃頻度を下げるための表面処理としてあらゆる場面で利用されています。

また、ナノ粒子化した酸化チタンは、紫外線カット高い透明性を持っています。この特性から、UVカットを目的とした化粧品(日焼け止め、ファンデーション、スキンケア商品、洗顔料など)にナノ粒子酸化チタンはよく用いられるのです。しかし、皮膚の表面に、直接酸化チタンナノ粒子を使用してしまうと、光を受けると光触媒の作用を発揮し、触れている物質を酸化させてしまい、人体に悪影響が出てしまいます。

そこで、化粧品にナノ粒子酸化チタンを使用する場合は、チタンの酸化力を抑制する物質をコーティングして使用します。

ナノ粒子酸化チタンのコーティングには、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ジメチコンなどの物質が添加されます。酸化チタンが含まれている化粧品の成分表を見れば、これらの物質が表記されているはずなので、チェックしてみてください。

また、白色塗料で酸化チタンは使われていますが、ナノ粒子化すると「フリップフロップ効果」と呼ばれる特徴が現れます。このフリップフロップ効果は、白、黄色味がかった白、青味がかった白など、見る角度によって色が変わることを指します。この煌くような特性を活かし、化粧品(ネイルなど)や車の塗料として利用されています。