材質
訴求機能・特徴 導電性、低抵抗、低凝集性、分散性
平均粒径 20 nm〜5 μm
粒子形状 球状、フレーク状
具体的用途例 電極材料、MLCC、インダクター、スルーホール、メンブレインスイッチ、ジャンパー、センサー用、引出配線、透明電極、導電性接着剤、LED、電磁波シールド塗料、ダイボンディング材
利用用途(粒径別) 5〜10 μm 太陽電池、スルーホール、メンブレインスイッチ
1〜5 μm 太陽電池、スルーホール、メンブレインスイッチ、ダイボンディング材
500 nm〜1 μm 太陽電池、タッチパネル(引出配線)、銀メッシュフィルム(透明電極)
10〜100 nm 電子部品関連

銀の主な機能

銀は元素記号をAgとする金属で、その名の通り銀白色をした金属です。

紀元前3000年ごろから、人類は銀を利用していることが知られており、銀の白い光沢は高級品の象徴とされ、工芸品や銀貨として様々な分野で利用されてきました。銀は金とは異なり、自然界では銀そのものとして産出されることはあまりなく、精錬する必要がありました。もともとは金と同等の価値があるものとされていましたが、精錬の方法が確立されると銀の価値は金よりも低くなりました。

近代での銀の利用は、フィルムカメラの感光物質としてが大半でした。しかしながら、フィルムカメラがデジタルカメラに移行していくにつれ、そのシェアが急減しています。

銀は、全金属中で最も可視光線の反射率が高いことで知られています。そのため、磨いて表面の凹凸をなくすと、完全なとして機能します。純銀でも鏡を作ることはできますが、現在では鏡を作る場合、加工コストの関係から、真空中で銀を熱し、ガラスへと蒸着させる方法が取られています。

可視光線の反射率に続き、銀は電気伝導率が全金属でも最も高い特徴があります。しかし、電気伝導率のよく似ている銅やアルミが、銀に比べて遥かに安い金額で入手できるため、電線などには、ほとんどの場合で銅やアルミが利用されています。銀が電気配線などで利用されるケースは、一部のオーディオマニアに支持されるスピーカーケーブルなどに限定されます。

高価で電気配線用途ではあまり使われない一方で、「銀ペースト」としての利用で銀の利用率が高まっています。銀ペーストは「はんだ付け」の代替材料として利用されています。はんだ付けよりも電気抵抗が少なく、強度や耐熱性に優れているなどの理由から、銀ペーストが太陽光パネルなどの電子部品の接合に使われています。

銀は、空気中の硫黄などと反応しやすく、反応すると黒く変色します。硫黄分などを含む温泉に銀の指輪などをはめて入ると黒く変色してしまうのは、この化学反応が原因です。また、銀イオンはバクテリアなどの微生物に対して強い殺菌力を発揮します。そのため、銀は浄化症や浴槽水の殺菌装置などに利用されています。

歯科医療でも銀はよく利用されます。一般的に「銀歯」と言われる詰め物は、銀に金、パラジウム、亜鉛、インジウムなどを添加した銀合金が用いられます。銀だけでは耐酸性が劣るため、耐酸性の補助に金が、脆さを補うためにパラジウムが添加されるのです。

銀は金に次いで展延性にも富んでおり、1gの銀は2200mもの長さに伸ばすことができます。そのため、箔として薄く伸ばされ装飾にも利用され、日本では仁丹の表面が銀箔でコーティングされたり、料理の装飾にも銀箔は使われます。糖類の粒に銀の粉末をまぶしたものは「アラザン」と呼ばれ、洋菓子の装飾などに利用されます。

また、銀の熱伝導率も、全金属中で最も高いということも知られています。

銀ナノ粒子の主な機能

銀をナノ粒子にすると、従来の銀粉末とはまた違った性質を発揮します。

銀はナノ粒子化されてもそのイオン特性は変わらず、高い殺菌効果を発揮します。そのため、銀ナノ粒子は、抗菌用途でよく利用され、衣服や靴、化粧品、プラスチック製品など、様々なものの表面に塗布されたり、材料に練り込まれたりします。

銀ナノ粒子を混ぜてペースト状にしたものは「導電性インク」として利用され、プリンテッドエレクトロニクスにも使われます。ただし、銀は「イオンマイグレーション」と呼ばれるイオンが原因で起こるショートが起こりやすいため、最近では銅を利用した研究が盛んになっています。

また、銀の高い反射特性を活かし、高感度の蛍光センシングとして「バイオセンシングの分野」でも活躍しています。銀ナノ粒子の表面に抗体やペプチドといった生体分子を結合すると、蛍光発光する銀ナノ粒子が目印になり体の内部に入った状態でも観測することができるわけです。この技術は、生体のメカニズムの分析などにも利用されています。