材質 酸化マグネシウム
訴求機能・特徴 熱伝導性、絶縁性、分散性
平均粒径 0.5 〜20.0 μm
粒子形状 鱗片状、顆粒状
具体的用途例 放熱材料、電子材料、フェライト磁石、放熱シート、合成ゴム加硫助材、スコーチ防止剤、酸中和剤、樹脂の充填剤、接着剤、FRP増粘剤、フェノール樹脂硬化剤、クロロプレンゴム用加硫助材、蛍光塗料、食品の栄養強化、サプリメント、食品加工助剤、整腸剤、下剤、安定化剤、試薬
利用用途(粒径別) 5〜20 μm エレクトロニクス
1〜5 μm 樹脂・ゴム用添加剤、食品用、医薬品・試薬用
100 nm〜1 μm エレクトロニクス

酸化マグネシウムの主な機能

酸化マグネシウムは「マグネシウム」の酸化物で、白色の粉末が代表的な形状です。水には溶けにくいですが、水を吸収しやすいという特徴があります。

酸化マグネシウムは「水酸化マグネシウム」や「炭酸マグネシウム」を焼成して作られる製法が一般的。焼成する温度によって生成されるマグネシウムの表面積や反応性が異なります。

焼成の種類は、低温焼成、中温焼成、高温焼成と区別されます。低温焼成した酸化マグネシウムは、表面積が広く、他の物質との反応性が高いという特徴があります。反対に、高温で焼成された酸化マグネシウムは、粒子が大きく、化学的な安定性に優れています。

酸化マグネシウムは、医薬品としても使われており、代表的なものでは「胃薬」「便秘薬」があげられます。「制酸性」があるため、胃酸などを代表とする酸物質を中和する性質があります。この性質を利用し、酸化マグネシウムは「胃薬」として活用されています。

冒頭でお伝えしたように、酸化マグネシウムは、水を吸収する性質があります。この特徴から便秘薬でも酸化マグネシウムは使われます。腸内で分泌された水分は、再び腸内で吸収されることがありますが、酸化マグネシウムは再び腸に水分が吸収されるのを抑える役割があるのです。

再吸収されなかった水分によって便の容積が増え、腸が刺激されて排便が促されるのです。酸化マグネシウムを利用した便秘薬は刺激が少ないため「非刺激性」の便秘薬として、様々な製薬会社から販売されています。

刺激が少ない酸化マグネシウムですが、長期の服用は「高マグネシウム血症」を引き起こす可能性があるので注意が必要です。高マグネシウム血症は、血中のマグネシウム濃度が高くなりすぎる病気で、筋力低下や低血圧、呼吸障害などを発症します。重度の高マグネシウム血症になった場合、心停止が発生する可能性もあるので、酸化マグネシウムなどを長期的に服用する場合は注意が必要です。

酸化マグネシウムは、農業用途でも利用されています。炭酸カルシウムと配合された酸化マグネシウムは「苦土石灰」として畑に散布されます。炭酸カルシウムが土壌をアルカリ性に傾け、酸化マグネシウムが植物の根を強くする役割を担います。植物において、酸化マグネシウムは葉緑体を維持するために必要な栄養素で、酸化マグネシウムが足りなくなると、葉が黄色くなって枯れてしまいます。

また、土壌硬化剤としても酸化マグネシウムは使われます。酸化マグネシウムやリン酸などを含んだ土壌硬化剤は、含水量の多い土壌でも固められる特徴があり、水田などの畦畔が崩れるのを防ぐ目的で、よく利用されます。

酸化マグネシウムは、放熱性と絶縁性にも優れており、高温下でも安定して電気を通さず、熱のみを伝えられます。この特徴から、アイロンや電気炊飯器などの部品に酸化マグネシウムは使われます。高温で焼成された酸化マグネシウムは、化学的に安定している特徴から、耐火レンガや絶縁充填剤などにも利用されています。

その他にも酸化マグネシウムは、接着剤への配合剤や合成ゴムの加硫促進材としてもよく使われます。

酸化マグネシウムナノ粒子の主な機能

ナノ粒子化された酸化マグネシウムは、通常の酸化マグネシウムの粉体とは異なり、水に溶けやすくなります。そして、水に溶け出す際には、水と反応して「水酸化マグネシウム」に変化しやすくなります。

また、酸やアルカリとも反応しやすいという性質もナノ粒子化によって現れます。この性質から、電池材料としての活躍が期待されており、研究が進んでいます。

ナノ粒子化した酸化マグネシウムは、液中で高い濃度を持っていても高い透明性を発揮することから、電気絶縁膜や光学系の製品への利用の期待も高まっています。